新卒との1 on 1を導入する6つのメリットについて

1on1制度

働き方改革が推進される一方で、生産性や業務効率を求められるために、社員同士のコミュニケーションが減っている企業や組織は少なくありません。特に、上司と部下の関係性が希薄となり、そこに危機感を覚えている企業も多く存在しています。

そこで、上司・部下のコミュニケーションの密度を高めるために注目されているのが、1対1の対話=1on1(ワン・オン・ワン)です。

最近では、新卒社員が「辞めない」で「成長する」ための、フォローや研修に時間やコストを費やしている企業も増えています。まさに新卒社員との「1on1ミーティング」を活用することで解決できることもあります。

新卒の早期離職を防止するだけでなく、仕事の経験をいち早く成長につなげることができる人材育成の重要なポイントも1on1にあります。

このページでは、

「1on1を導入したいけど、具体的にどんなメリットがあるのかいまいち分からない」「1on1をするにあたってどんなことに気をつければいいのだろうか」「そもそも1on1ではどんなことを話したらよいのだろうか」

そんな疑問をお持ちの人事・採用担当の方へ

新卒との1 on 1を導入する6つのメリットについて」についてご紹介します。

 

1. 「1 on 1」とは

1-1. 「1 on 1」とは

 

1on1ミーティングとは、上司・部下による定期的な1対1のミーティングのことです。

部下が仕事を通して経験した「うまくいったこと」「失敗したこと」や「仕事の悩み」などを内省し、上司がその内容をフィードバックすることで、そこから教訓を得て、さらなる成長に活かしていきます。

日々の仕事をなんとなくで終わらせずに定期的に振り返ることができ、経験学習のサイクルがまわります。その結果、社員個々人の成長や活性化につながっていきます。

1-2. 取り巻く環境

働き方改革のために業務時間の短縮や生産性向上が実施され、それに伴って、社員同士のコミュニケーション量はどんどん減少しています。 仕事終わりに部下と飲みに行くことも少なくなっているため、人事以上に、上司の方が部下とのコミュニケーション量の少なさに危機感を持っている方も少なくありません。

また、最近ではコロナの影響で在宅での業務が進んだり、会社でも直接社員同士で会う機会も極端に減ってしまった企業がほとんどだと思います。

このように、コロナの影響もあって社会の流れが、1on1とは真逆の状況を創り出してしまっているのです。  

2. 「1 on 1」を導入する6つのメリットと気を付けるべきこと

2-1. 「1 on 1」を導入する6つのメリット

① 新卒社員との信頼関係を構築できる

コミュニケーション不足は、ときに社員の離職を招く看過できない問題になります。

コロナの影響もあり、リモートワークが増え、ますます意思疎通が難しくなった今、普段の業務とは離れた場所で、上司と部下が1対1でお互いの近況を知り、声を掛け合い、話を聞ける「1on1」は貴重なコミュニケーションの場、信頼関係の構築の場になります。

② 新卒社員に対する理解の向上

上司は部下の話に耳を傾けることで、部下が日ごろ何を考えているのか、どのような思いで業務に取り組んでいるのか、あるいは自分に対してどのような感情を抱いているのかを知ることができる機会になります。

定期的に部下と話すことにより、部下の成長やキャリアビジョンの時間変化にも適時対応することができます。また、会社への意見やビジョンの浸透度合い、ロイヤルティなどを伺うことで、会社の仕組みを見直すきっかけにもつながります。

③ 問題の早期発見

コミュニケーションの弊害は、意思決定の誤解にもつながるといわれているために、トラブルの削減などさまざまな業務改善の効果が期待できます。

1on1が定着すると、さまざまな問題について、部下からより早く相談や不満、改善案が上がるようになります。 副次的な効果として社員の離職率低下にも貢献できます。

④ 新卒社員の成長促進

部下は自分の失敗を上司とともに振り返ることで、自分自身にある課題に気づけるようになります。失敗だけでなく成功体験も共有すれば、絆はより深まります。 「失敗も成功も上司と共有できる」と感じられるようになった部下は、安心して自身の能力・スキルを伸ばすことに集中できるようになります。

お互いに仕事をしているだけでは知りえない情報を引き出せるようになれば、部下がどんなことに不満や不安を抱いているのかを理解することでき、業務だけでなく精神面でもフォローできるようになります。

⑤ 新卒社員のモチベーション向上

1対1のミーティングで信頼関係が生まれれば、部下は上司に自身の考えや意見を躊躇なく伝えられるようになります。伝えた意見が業務や待遇に反映されれば、部下は仕事へのモチベーション向上に繋がります。

また、自分以外の他の第三者に言葉にして話すことによって、新卒社員が自らのビジョンや強みや弱みに気づき、秘めた情熱を解き放つ効果もあります。

「1on1」は、個々の能力をいかんなく発揮できるチームの構築にも役立つ仕組みなのです。

⑥ 人事評価の納得感を高める

人事評価というものは、いかに個人に焦点をあてて、部下が納得感や自分なりの意義を持って仕事に臨めるか、ということが大事になってきます。

そんな中、たった1度の評価面談で四半期や半年・1年を振返って評価をされるのでは、納得感を持てない、と感じる新卒社員もいるかもしれません。 常日頃から1on1を通じて先んじて話をして上司と部下の認識のズレを把握する事ができます。これにより、人事評価における納得感も格段に上がってきます。

強い組織を作るための1ON1マニュアルより  

つまり、部下にとっての1on1は「経験学習サイクル」の一環に繋がっているのです。

経験学習サイクルを回すためのスキルについての詳細は「強い組織を作るための1ON1マニュアルより」をご覧ください。

2-2. 「1 on 1」をする際に気をつけること

①1on1に対して過度な期待は禁物

1on1はあくまでも上司と部下の会話のツールやきっかけであって、当たり前のインフラとして捉えた方が良いということです。 何か問題が起こってからではなく、日頃から部下とコミュニケーションをとることで先んじて問題に対処することができるようになります。

1on1を導入することにより、部下からの「ちょっとよろしいですか?」という質問やきっかけの数が増えるので、問題が小さいうちに対処できます。

②「部下のための時間」であることを忘れない

上司からみると「部下のことがよくわかる」ことが1on1の目的・効果の一つです。それと同時に「1on1は部下のために存在するものだ」という大前提を認識することです。

部下が今どのような気持ちで普段、仕事をしているのか、どんな価値観やどんな姿を目指しているのか、といったことをお互い対等な立場で、たくさん会話を重ねていくのが1on1の大切なポイントです。

「だれかとつながっていたい」欲求が強い世代である新卒社員にとっても、「上司には自分のことをよく理解してもらっている」という心理的安全性が担保されます。

③ 先に自分の考えを言わない

上司の意見を聞いた後では、部下は異なった意見を言いにくくなるもの。先に部下の意見を聞き、思いや考えを深めるための時間にしましょう。

④ 次回課題を考えて終える

対話によって問題の本質が見えてきたら、達成するための課題と行動を明確にしましょう。

⑤ 雑談だけにならないようにする

1on1ミーティングは人材育成のために行うものです。組織の業績向上が一番の目的であることを忘れずに、雑談中心になることを避けましょう。

とはいえ雑談のようなフラットな雰囲気を作ることも重要。そのために、会社から離れてカフェや公園などで行う人もいるそうです。

強い組織を作るための1ON1マニュアルより

よくある失敗例と対処法  

 

3. 「1 on 1」を導入したい人事にとっての3つのハードルとは?

3-1. 3つのハードルについて

現実には1on1を導入しようとして、なかなか現場に受け入れられない/定着しないケースが少なくありません。

ざっくりですが、「1 on 1」を導入するときのハードルについて3点挙げてみます。

① 忙しい・面倒くさい

② 必要ない

③ イメージがわかない  

 

① 忙しい・面倒くさい――「いや、そんな時間忙しくて取れませんよ」

上司の多くは自分の業務も持ちつつマネジメントをしなければならない立場ですから、時間が取れないと一蹴されてしまうのは無理もありません。

しかしながら、むしろ、大切な部下のために一回30分程度の時間もつくることができないと感じてしまう上司自身の余裕のなさに対して、組織としてケアすべきだと言えるでしょう。

② 必要ない――「コミュニケーションならとれているから大丈夫です」

実際、部下が優秀で成果も出ている、定期的に飲みに誘えば一緒に飲むこともある関係性がそれなりに築けている場合もあります。

しかし、手応えがあるだけに、部下のちょっとした不満や不安であったり、チーム施策に対する改善案といった「ちょっとした意見」や「声を上げにくい声」までは、拾い切れていない可能性があります。

③ イメージがわかない――「『聴く』といっても……何を?」

「自社で導入したこともないし、コロナの影響でリモート環境にもなってしまうと、そもそも1対1で話すことすら難しい」と感じてしまい、あまりイメージが湧かないというのが現場の意見であると思います。  

3-2. 人事が「1 on 1」を導入するためにできることとは?

人事は1on1の必要性を感じています。しかし、上記のような不安であったり、そもそも必要じゃないのではないか、と思っている現場の声がある中で、説得力をもって1on1を会社側に提案できないこともあるのではないでしょうか。

そんな人事担当者としてできることを3つご紹介いたします。  

① 上司の方に1on1の優先度を上げてもらう

何よりも1on1の大切さや意義、コミュニケーション不足における弊害を理解してもらうことです。そして、実際に優先的に1on1のスケジュールを入れてもらうように1on1を前提としてで業務を行ってもらうことが必要になってきます。

そのためには、先述した1on1がもらたらすメリットを伝える機会を設けることが重要です。「上司と部下は対等である」というマインドセットは、今の時代では必要不可欠であると、まずは知ることが大切です。

マネジメントというものが「教えること」から「引き出すこと」へと、求めるものが変化していることを認識してもらう必要もあります。上司の方が1on1を通じて、マネジメントの在り方についても考え方を改めるきっかけにもなります。  

② 1on1ミーティングを実践する前に準備する

いざ理解をしてもらったところで、どのような準備をすればいいのか、何もわからない状態ですと、ただでさえ目の前の業務で忙しい上司は、余計に負担をかけてしまうことになります。

ただ単に1on1ミーティングを実施しても、期待するような効果は出ないため、実践する前に以下を確認してみるように上司と部下の方に声掛けをしましょう。

確認ポイント1【実践する上司・マネージャー・部下間に最低限の信頼関係があるか】

人は信頼していない相手に自己開示はできません。上司の方から積極的にコミュニケーションをとり、最低限の信頼関係を築いておきましょう。

この際、部下と上司だけでなく、上司とマネージャー陣、マネージャー陣と経営陣の信頼関係は構築されているかも重要になってきます。 マネージャー陣が経営陣に対して信頼していなければ、その雰囲気って部下にも伝わるので、トップダウン形式で上から信頼関係を作っていくことが大事です。  

確認ポイント2【なぜ1on1ミーティングをやるのか、目的の共有ができているか】

目的意識の共有がなければ十分な効果は期待できません。1on1ミーティングは、部下の成長にコミットするものだという認識を持ってもらい、積極的に取り組むように促しましょう。

また、部下が本音を話してくれず、1on1が機能しないというケースがあります。そのため、1on1で話した内容が必ずしも評価には影響しない旨を必ず伝えることも大切です。  

確認ポイント3【適切な頻度・時間を設定する】

1-2週間に1度、30-90分程度の時間を設けて行うのが一般的ですが、部下の状況にあわせて適切な頻度を設定しましょう。  

 

③1on1ミーティングで話す内容を予め決めておく

「1on1の時間は取ることができた!、で何を話せばいいの?」 こうなってしまう前に、話す内容についてもあらかじめ決めておきましょう。 基本的な方針としては部下の話したいことを話してもらうようにすることですが、以下のように基本となるようなフォーマットを決めておき、事前に共有することも効果的だといわれています。

部下の性格や、初回1on1ミーティングの様子などから判断して活用すると良いでしょう。 参考にいくつかテーマを紹介いたします。

  • 最近仕事でうまくいったこと
  • 最近仕事で困っていること
  • サポートしてほしいと思っていること
  • 会社全体について気になっていること
  • 現在の仕事に対しての関心度合い
  • 自己実現のために次に挑戦したい仕事
  • 個人的な悩み・相談

強い組織を作るための1ON1マニュアルより

最後に

新卒との1 on 1 について正しく理解することができましたでしょうか?

1on1の基本から具体的なメリット・デメリット、そして人事担当者としてどう導入、展開していくかまでお話ししました。

新卒社員との1on1を成功に導くためにも私たち採用モンスターがお力になります。

お試しコンサルも実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

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